LAW CHANGES
建築の法改正
改正の羅列ではなく、「確認申請の実務で何が変わるか」に絞って解説します。 詳細は各記事の一次ソースをご確認ください。
3Dプリンティング建築(積層造形型枠一体型壁式鉄筋コンクリート造)の構造基準を告示で制定
モルタルを積層造形(3Dプリンタ)した型枠の空洞部に鉄筋を配置しコンクリートを充填して一体化した耐力壁を用いる構造方法について、安全上必要な技術的基準を定める新告示(令和8年国土交通省告示第693号・2026年6月15日公布、公布の日から施行)。対象は階数1・延べ面積200平方メートル以内・階高3.5m以下の建築物で、モルタルの材料・強度、接合部、基礎ばり、床版・屋根版、耐力壁(壁量12以上・鉄筋コンクリート部分の厚さ12cm以上・鉄筋比0.15パーセント以上等)、壁ばりの仕様を規定する。
- 平屋小規模建築物
- 戸建住宅
- 小規模非住宅
構造関係告示の一括改正(引用JIS年版の更新・木質接着パネル工法の偏心率規定の見直し)
令和8年5月29日公布・同日施行の「現場打コンクリートの型わく及び支柱の取り外しに関する基準等の一部を改正する告示」(令和8年国土交通省告示第658号)により、構造関係の複数の告示が一括改正された。内容は、(1)型わく・支柱の取り外し基準および建築材料の品質基準が引用するJIS A 5308(レディーミクストコンクリート)を2024年版から2026年版へ、プレストレストコンクリート造の技術的基準等が引用するJIS R 5210(ポルトランドセメント)を2003年版から2026年版へ更新、(2)セメントの密度・凝結・安定性・圧縮強さ・水和熱・組成の測定について、掲げる試験方法と同等以上の方法も認める規定へ変更、(3)石綿飛散防止剤の塗布量測定に同等以上の方法を認める規定を追加、(4)昭和62年建設省告示第1899号およびCLTパネル工法告示(平成28年国土交通省告示第611号)の「標準層せん断力係数」を「標準せん断力係数」へ用語整理、(5)木質接着パネル工法告示(令和7年国土交通省告示第250号)第10第3号の偏心率規定の見直し。附則は「公布の日から施行する」のみで、経過措置は置かれていない。
- 鉄筋コンクリート造
- プレストレストコンクリート造
- CLTパネル工法
- 木質接着パネル工法
木材の基準強度(Fc・Ft・Fb・Fs)を定める告示の改正(枠組壁工法・2×4)
枠組壁工法構造用製材等の日本農林規格(JAS)改正(令和7年農林水産省告示第1622号)に伴い、木材の基準強度を定める告示(平成12年建設省告示第1452号)等を令和8年国土交通省告示第336号で一部改正した。2×4規格の樹種群やMSR(機械等級区分)の区分が見直され、アカマツ・トドマツの樹種群分類の変更、MSR等級として格付け可能な組み合わせの拡大が行われた。公布は令和8年3月3日、施行は令和8年5月29日。
- 木造
- 枠組壁工法(2×4)
- 木造戸建て
- 共同住宅
中規模非住宅建築物の省エネ基準(BEI)引き上げ
延べ面積300㎡以上2,000㎡未満の非住宅建築物に求められる一次エネルギー消費性能基準(BEI)を、従来の1.0から用途別に引き上げる。工場等は0.75、事務所・ホテル・百貨店・学校等は0.80、病院・飲食店・集会所等は0.85。令和6年経済産業省・国土交通省令第2号による改正で、令和8年4月1日以後に建築物エネルギー消費性能適合性判定(省エネ適判)の申請等を行うものが対象。先行して引き上げ済みの大規模非住宅に中規模が続く形。
- 非住宅
- 事務所
- 店舗
- ホテル
- 学校
- 病院
「BIM図面審査」の運用開始(建築基準法施行規則・確認審査等に関する指針の改正)
令和8年3月31日に建築基準法施行規則の一部を改正する省令(令和8年国土交通省令第22号)と確認審査等に関する指針等の一部を改正する告示(令和8年国土交通省告示第438号)が公布され、令和8年4月1日に施行された。これによりBIMモデルから作成した図書で建築確認を申請・審査する「BIM図面審査」の運用が始まった。規則上、BIMモデルは「建築物等情報モデル」として、建築物その他の工作物またはその部分の外部・内部の形状を示す三次元の情報を、名称・面積その他の情報と関連付けて記録した設計に係る電磁的記録と定義された。二次元の形状情報に高さの情報を関連付けたものもこれに含まれる。運用の細目は建築BIM推進会議が策定した「建築確認におけるBIM図面審査ガイドライン」および「BIM図面審査 申請・審査マニュアル」(いずれも初版・令和8年3月24日版)に定められている。
- 全用途
建築確認・審査省略(いわゆる4号特例)の見直しと構造関係規定の整備
2025年4月1日施行。建築確認・検査の対象となる建築物の規模を見直し、審査省略制度(4号特例)を縮小。木造2階建て等・延べ面積200㎡超の平屋などが新たに構造・省エネ関連図書の審査対象となる。木造戸建ての大規模の修繕・模様替も建築確認手続きの対象に。多様な木造仕様に対応する柱の太さや壁量等の構造関係規定も整備された。
- 木造戸建て
- 木造2階建て住宅
- 小規模木造建築物
木材利用促進に向けた防火・避難関係規制の合理化(建築基準法施行令改正)
木材利用の促進等を図るため防火・避難関係規制を見直す政令(令和7年政令第310号・2025年9月3日公布)。防火区画等の内装制限の緩和、木造建築物の小屋裏隔壁の設置要件の緩和、無窓居室の排煙上有効な開口部面積の算定の性能規定化、準耐火構造の垂れ壁の防煙壁への位置付け、自然排煙口の材料規制の緩和、大規模木造建築物等の敷地内通路要件の見直し、既存建築物の改修に係る基準の緩和、簡易リフトの取扱いの整理を含む8項目の改正。2025年11月1日施行。
- 中大規模木造
- 非住宅
- 共同住宅
省エネ基準適合の全面義務化(原則すべての新築)
2025年4月1日施行。原則すべての新築住宅・新築非住宅に省エネ基準への適合が義務付けられ、従来の届出義務は廃止された。適合義務の対象外は床面積10㎡以下の建築等に限られる。施行日は令和6年4月19日公布の政令で確定。
- 新築住宅
- 新築非住宅
改正建築士法が公布(令和8年法律第74号・在学中受験の導入と設計等受託契約の書面義務の全面化)
建築士法の一部を改正する法律(令和8年法律第74号)が2026年7月24日に成立し、7月31日に公布された。建築設計3団体の共同提案を受けた議員立法。柱は2つ。(1)将来の建築士等の確保=一級・二級・木造建築士試験について、卒業を待たずに在学中の受験を可能にする(一定の単位取得と最終学年で卒業見込みであることが条件)。建築学科等を卒業していない場合の二級・木造建築士は、受験に必要な実務経験を7年から2年に短縮し、受験前を含む実務経験4年で免許を取得できる。二級から一級を目指す場合に必要な二級建築士としての実務経験は、二級になる前の実務経験や学歴と組み合わせて4年から2年に短縮する。建築設備士は受験時の実務経験を不要とし、登録時までに満たせばよいこととしたうえで、実務経験を要件とする登録制度を創設する。(2)契約の適正化=これまで延べ面積300平方メートル超の新築等に限られていた設計受託契約・工事監理受託契約の書面による契約締結義務を、面積等を問わず建築士が行う設計または工事監理の委託を受ける全ての契約に拡大する。あわせて建築士事務所の開設者に見積書の作成等の努力義務を課し、当事者は契約締結にあたり見積書の内容等を考慮するよう努めるものとする。施行期日は原則として公布の日から3年を超えない範囲内において政令で定める日。ただし契約の適正化に関する規定等は公布の日から1年を超えない範囲内において政令で定める日から施行される。経過措置として、契約書面の義務は施行日以後に締結される契約に適用され、施行前に締結された契約は従前の例による。施行日を定める政令は2026年8月10日時点で確認できていない。
- 全用途
建築基準法に「特定業務施設等誘導地区」を新設(都市再生特別措置法等の一部を改正する法律)
都市再生特別措置法等の一部を改正する法律(令和8年法律第23号。2026年5月20日成立、5月27日公布)により、建築基準法の集団規定に「特定業務施設等誘導地区」が加わった(新設・第60条の4)。市町村がこの地区を都市計画に定めると、地区内の建築物のうち都市計画で定めた誘導すべき用途に供するものは、容積率の最高限度が都市計画で定めた数値になる(第52条第1項に第8号を追加)。あわせて、都市計画で定めがあれば容積率と建築面積の最低限度、建築物の高さの最高限度が適用される。地方公共団体は条例で用途制限を追加でき、国土交通大臣の承認を得て用途規制を緩和することもできる。階数2以下で容易に移転・除却できる建築物、公衆便所等の公益上必要な建築物などは最低限度の適用除外。建築基準法の改正部分(建築協定に関する規定を除く)の施行日は、公布の日から6か月を超えない範囲内で政令で定める日とされている。2026年8月3日時点で施行期日を定める政令は確認できていない。
- 非住宅
- 事務所
- 共同住宅
改正建築物省エネ法が公布(令和8年法律第75号・ライフサイクルカーボン評価制度の創設)
建築物のエネルギー消費性能の向上等に関する法律の一部を改正する法律(令和8年法律第75号)が2026年7月24日に成立し、7月31日に公布された(2026年3月27日閣議決定)。柱は4つ。(1)建築物ライフサイクルカーボン評価制度=国が資材製造から施工・使用・解体までを通算した炭素排出量の統一的な算定ルール(指針)を策定し、一定の用途で一定規模以上の建築物の新築等について、建築主に着工の14日前までに評価結果を国土交通大臣へ届け出ることを義務付ける。(2)先導的な省エネ技術を評価する大臣認定制度=特殊な構造・設備を用いた建築物について、国土交通大臣が個別にZEH・ZEB水準への適合を認定し、容積率特例等の対象とする。あわせて住宅トップランナー制度に上位区分を設け、市場の概ね4分の1を占める住宅供給事業者に中長期計画の策定と毎年度の報告を義務付ける。(3)環境性能の第三者認証・表示制度=ライフサイクルカーボン評価結果と省エネ性能について登録機関の第三者認証を受け標章を表示できることとし、紛らわしい表示を禁止する。(4)その他=法律名を「建築物のエネルギー消費性能の向上及び脱炭素化の促進に関する法律」に改める等の措置を講じる。施行期日は(1)(3)(4)関係が公布の日から2年以内、(2)関係が公布の日から1年以内で、いずれも政令で定める日。対象となる用途・規模や算定方法は今後の政令・省令で定められ、2026年8月10日時点では確定していない。
- 非住宅
- 共同住宅